2023年05月22日


ノックアウトステージ32→16
×ガクテンソク257ーマシンガンズ266〇

ノックアウトステージ16→8
〇マシンガンズ289ーランジャタイ258×

グランプリファイナル一回戦
×金属バット269ーマシンガンズ271〇

準決勝
〇マシンガンズ284ー三四郎256×

決勝
×マシンガンズ246ーギャロップ276〇


いや決勝のマシンガンズの点数低っ!

マシンガンズのことでこんな長時間ドキドキしたのが初めてだったから、昨日番組が終わったあとは心臓が痛かったです。

ここまで勝ち続けたのはすごいことだし、マシンガンズの良さが全て出てました。
人気者を倒して倒してさらに強くなって、グランプリファイナルでは松本さんにはまってない感じでいじられることもネタにして、目に映るものすべてを全てをネタにして、決勝の決勝まで行けました。
あれが私の大好きなマシンガンズの姿です。最後の漫才、あれがマシンガンズの真骨頂です。

売れっ子芸人さんの中には、トークはすごく面白いのに漫才となるとなんだか縮こまってしまう人がいるじゃないですか。
マシンガンズはその反対で、「漫才」という枠を与えられた瞬間に、滝沢さんと西堀さんは誰よりも何よりも自由になるんです。くさい言い方ですが、それ以外に表現のしようがない。よく「大阪の人は二人で喋っているだけで漫才になる」なんて言いますが、本当にそれをやるんです。しかも大阪弁を使わずに。
そういう意味で、マシンガンズは生粋の漫才師だと思います。

最後の漫才、ネタ部分の言うことは台本があるわけじゃないですか。でもそれ以外は決まっていなくて、二人で呼吸を合わせて喋りながら、ネタ部分に入っていったりまたトークに戻ったり。つなぎ目は見えているけど、あのゾーンに入ると、どうやって制御してるのか、どういう方法論で笑いを取っているのかが見えなくなるんですよ。ファンの私でも。
しかもボケツッコミに分かれていない二人だから、相手がどういう性質のことを言って自分がどう反応すれば笑いになるのかの形に制限がなくて、全く先が見えないんですよね。でもなぜかそれが成立する、漫才になる。二人が手を挙げてツッコミを入れるところではなく、それこそがマシンガンズの真骨頂だと思います。

特に、滝沢さんの存在がマシンガンズという漫才師の特異点だと思うんです。西堀さんはストレートに天才と言われてきた人で、器用でトークでぼやいたり落としたりするのもうまくて実力の形がすごく見えやすいけど、滝沢さんって不器用な人だから声の抑揚もあんまりつかなくて、「ズガガガガガ」みたいに喋ってるじゃないですか。詰まったり噛んだりして全然何も言えてない時もありますし(ここから褒めるのでご容赦ください)。

でも滝沢さんが本当に勢いづいた時って、どんなすごい漫才師でも起こせない爆発が起きるんですよね。舞台袖、MC席、ライブの時には壁に空いてる穴にまでいきなり何か言って、ドンッと笑いが起きる。今回の決勝戦の漫才みたいに「全てをかけて笑わせる」が本当になる。言葉に嘘がないんですよね。それは芸人として、漫才師として稀有な才能なのかもしれません。
で、それに西堀さんが硬軟自在の反応をすることでライブ感が生まれて、笑いが渦みたいになっていく。滝沢さんのああいうのに反応できるのは本当に西堀さんだけだと思います。

しかしガクテンソクに勝ちランジャタイに勝ったところでお笑いシーンにマシンガンズ旋風が吹き荒れましたね。
私が観覧した4月30日の、伝説の先攻2点7人のあの瞬間から、あれよあれよとここまで来ました。
金属バットに勝てるかが一番不安だったので、そこが緊張のピークだったんですが、その後もなんだかんだ緊張していたようで、昨日は心臓が痛かったです。

伝説の先攻2点7人のあの瞬間から、マシンガンズは主人公みたい、優勝してほしいという声がSNSに溢れました。
それだけでもすごい経験です。文字通り、天地がひっくり返ったみたいに、地の底にいたと思ったら次の瞬間にはそこがてっぺんになっていた感じ。「面白い」だけじゃなくて、好き、勝ってほしいという大勢の気持ちが一気に見えるようになったという。

組み合わせ抽選も好評で、西堀さんの「趣旨に!」が話題になって。
マシンガンズは逆境に強いタイプだから、優勝候補とまで言われ始めて、私は内心「そこまで言わないで!」と思っていました。
でも始まってみたら、金属バット戦こそ薄氷の勝利だったものの、松本さんに名前を間違えられたこととか、SNSの書き込みとか、その日の出来事すら取り込んで漫才にして、お疲れちゃんもヤーもやって、怒って笑って飛び跳ねて、二人の魅力をこれでもかと振りまいたと思います。
(ちなみに滝沢さんは器械体操、西堀さんはバレーボールをやっていたので、跳躍が得意なコンビなのかもしれません)

3本目の漫才、台本は提出しているわけで、ネタがないというのは何割かは事実で何割かは戦術だったと個人的には思っていますが、あそこまでの状態になることを本人たちが狙ってやっていたのかはわかりません。

マシンガンズの漫才があそこまでの状態になることはたまにあって、はっきりわかるところだとDVD「怒」の最後のネタがそうだと思います。あのDVDは(イルカのDVDではありません)収録ライブをやって漫才を6本ぶっ続けで披露しています。
若い頃とはいえそんなに続けてやれる芸風ではないので、6本目は目に見えて二人ともボロボロなんですが、それがめちゃくちゃ面白いんですよ。破れかぶれに叫んで叫んで、全てに向けた銃口が結局は自分たちに返ってくる。バカだのなんだのたくさん言ってきたけど結局俺らは何なんだというような叫びの漫才です。

他にもライブでとんでもないゾーンに入ったところは見てきたと思うんですが、やっぱり追い詰められる状況でないとなかなかそうはならないはずですよね。それがまさか、テレビの賞レースの決勝の決勝で見られるとは思いませんでした。

あれがマシンガンズの一番すごいところです。センスのある芸人さんも技術のある芸人さんもたくさんいるけど、あんな笑いの取り方をするコンビは他にいません。

133組がエントリーして、そのうち予選から決勝戦まで6回もネタをやることができたのは、ギャロップとマシンガンズだけです。
そしてマシンガンズは、ノックアウトステージ以降の5戦中、ポットAと4回当たって3回勝っています。勝った3回のうち2回は先攻での勝利です。ポットAの8組のうち半分と当たったんですね。この先大会が続いたとして、ポットAを3回倒す組は現れるのでしょうか。
並みいる強敵をぶち破って勝ち上がり、そのたびに強くなる姿のかっこよさときたら、それは確かに主人公のものでしょう。予選が進む間にマシンガンズがみるみるかっこよく見えてきたのは、きっと私のひいき目だけではないと思います。
そもそも一時期に比べてマシンガンズの外見はどんどんよくなっていたんですが、特に最近はとてもいい年のとり方をしていますよね。その中でも予選を通してまたさらにかっこよくなっていくのは圧巻としか言いようがなかったです。

(参考記事 「顔」で見るマシンガンズという漫才師

おそらく松本さんのコメントを受けて来年からの審査は何でもあり感が薄れると思うので、マシンガンズみたいな戦い方、勝ち方をする漫才師が出てくる可能性はほぼないと思います。
初回かつ無観客という超荒れ場だったお笑い成人式で優勝したように、マシンガンズはまだ固まっていない足場の上で戦うことが得意なのかもしれません。マシンガンズがこんな強敵たちを向こうに回して戦えたということが、とても誇らしいです。


3本も漫才をするルールだから、マシンガンズの魅力が全部出ました。そしてたった1組の相手を倒せばいいタイマンバトルだから、お笑いファンによる工夫された審査だから、ここまで勝ち上がることができました。6分もネタ尺があるから、「ネタがない!」と叫んであの手この手を繰り出す二人の姿が見られました。
いろんな全てが合わさって、惑星直列並みの奇跡で、最後の芸術みたいな漫才がテレビで放送されました。むしろ行きすぎて漫才を通り越してしまった感すらありました。

でもそれはただの奇跡ではなくて、奇跡をつかみ取る努力を怠らなかった二人の勲章だと思います。
マシンガンズがこの大会に関してよく話していた「久々にテレビで漫才をやったらうまくいかなかったから、反省して月一度は集まって漫才をやるようにした」というのは、たぶん2021年5月のENGEIグランドスラムマチネだと思います。いぶし銀枠みたいなコーナーでおしみんまるさんと一緒に紹介されて、すごく楽しみにしていたけど、爆笑とはなかなか言えない出来だったのを覚えています。
それで月一回はライブに出るようにしたことでこの結果が…いや月一回って、吉本の芸人さんからしたら全然少ないんですが。
でも、非吉本の芸人さんで20年選手とかだと、コンスタントに出られるライブが全然ないんですよね。集客できるのは若手芸人ですから。だからみんな漫才協会に入るんだと思います。
THE SECONDの開催やマシンガンズのこの快進撃を機に、非吉本のベテランが立てる舞台ができないかなと思う次第です。

でも今思うと、その出演がなければ絶対この結果にはならなかったわけで、「心の中では芸人をやめている」なんて言いながらもテレビ出演の出来を反省してちゃんと漫才師であり続けようとした二人に、神様がチャンスをくれたのかなと思いました。
ただ、マシンガンズの最近の漫才を見たことがある人ならわかると思いますが、およそ心の中で芸人をやめている人の喋りや勢いではない、ゴリゴリの漫才です。

あとはもちろん、マシンガンズがもともとものすごく面白い漫才師だからというのもあります。
ライブのトークで、いろんな芸人さんがマシンガンズを褒めているところを見てきました。客ウケ抜群の漫才師が、ロジカルなネタを量産する漫才師が、類い稀なセンスのある漫才師が、口を揃えるように「マシンガンズさんは面白い」「かっこいい」「憧れる」「本当はああなりたい」と言うんです。
東京の芸人さんが憧れる、ちょっとアウトローでふらっとセンターマイクの前に立ってアドリブみたいなやりとりで爆笑を起こして、自分たちもゲラゲラ笑っている。そんな姿を体現する漫才師であるマシンガンズが売れないなんておかしいですよ、絶対に。

全部勝つことはできなかったけれど、ツイッターを見ているとファンになった、かっこいい、面白いという人がたくさんいるようで、それが一番うれしいです。漫才でマシンガンズの魅力が広く伝わるって、理想的じゃないですか。
二人とも本当にいい人で、滝沢さんはお笑いに熱い努力家で、西堀さんは天才型の伊達男です。ファンから見て、ちゃんとお互いのいいところを尊敬していて、お互いの足りないところを補おうとしている、いいコンビです。

漫才はもちろん、ラジオもめちゃくちゃ面白いです。ポッドキャストで「ネガポジ」で検索すると見つかります。マシンガンズという名前がタイトルに入っていないので要注意です。
アマプラでもマシンガンズで検索すると「怒」から抜き出して収録しているDVDが少し出てきます。「怒」もアマプラでレンタルまたは購入できます。


あとは私のブログについて。
マシンガンズが決勝に行ったことでこのブログを久々に読んでくださる方もいて、昔の記事がほぼなくなっていることを残念だと言われることもあるんですが、記事を再公開することはないです。

まず、テレビやライブやネタの内容をそのまま書くことが特にマナー違反とされていない時代に書いたものであることが一つ。あとは、テレビなどの感想でも芸人さんを呼び捨てにして書いていて、とても手直しができない分量であることがもう一つ。

どちらも気にしない人はしないと思うのですが、私としてはこれをネット上に自分が上げることはちょっとできないというところです。
今は芸人さんが直で見てリアクションをしてくることもありうる世の中なので、そこをうまくやっていく自信は私にはないです。
呼び捨てが自分的には一番きついかもしれません。今見ると本当に何様なんだと思います。
皆さんも公開されているSNS上で芸能人のことを書く時には、とりあえず呼び捨てにしないことだけでも心がけると、エゴサする本人やたまたま目に入った関係者などが受けるダメージが少なくなるかもしれません。


それにしても、すごい大会だったしすごい決勝でしたね。こんなに芸人ファーストで余分なものがなくて芸人さんをメインにかっこよく取り上げてくれていいの?と思いました。オープニングやネタ前の画像はマシンガンズ史上一番かっこよかったし、煽りVTRもプライベートの苦労とかなしで、ただただ漫才師として扱ってもらえているのがうれしかったです。ずっとああいうかっこいいオープニングとか煽りVTRに出るマシンガンズが見たかったんですが、期待以上のものが見られました。
というか、事前番組から8組全員すごくかっこよく取り上げてもらえましたよね。本番も、「バラ色の日々」が流れるVTRの最後で8組が紹介された時に、今日の主役はこの人たちなんだ!と伝わってきました。

開催発表当時は、「M-1を卒業しても芸人が戦い続けないといけなくなる」という批判もありましたが、予選が進んでいくにつれ、お笑いファンだけでなく出場していない芸人さんたちも大いに盛り上がりました。それはおそらく、芸人さんも誰かを応援できるからじゃないかと思います。
金属バット、マシンガンズ、スピードワゴン、三四郎、ギャロップ、テンダラー、超新塾、囲碁将棋。
日本のお笑い芸人さんならみんな、この8組の誰かと近いコミュニティにいたり、境遇が似ていたり、自分を投影して自分の代表のように応援できるんじゃないかと思います。そのぐらい、芸風、年代、出身地、所属事務所と、幅広い漫才師が見事に揃っていました。
面白い芸人はかっこいい、そして長く続けていたらまた別の面白さとかっこよさが出てくる。出場していない芸人さんたちが熱く語るのを見るのもまた楽しかったです。

そしてあの審査システムですよ。あれは発明だと思います。ベテラン漫才師の賞レースとして、タイマンバトルという形式と観客審査のあのシステムが出てきたのはちょっとお笑い史上に残る出来事だと思います。

こんなにいいものが見られるのはお笑いブームが成熟しているからだと思います。
ノックアウトステージからいろんな感情が渦巻いてとても休まらなかったのですが、すごい4時間の生放送でした。こんな経験ができると思いませんでした。そりゃ心臓も痛くなりますよ。

芸人さん、スタッフの皆さん、ファンの皆さん、お疲れさまでした!
やっぱりマシンガンズはかっこよくて最高に面白い、最強の漫才師です。


マシンガンズ「怒」
マシンガンズ
2017-12-21




(00:41)

2023年05月01日


マシンガンズ、決勝進出!

マシンガンズが決勝進出ですよ、皆さん。
2009年2月にブログを始めて、7月ごろからマシンガンズ面白いよと言い始めて、JAL名人会で信じられないぐらいウケてるマシンガンズを見て、そこからはや14年。14年!

ノックアウトステージに進む32組に見事選ばれ、超実力派のガクテンソクを破り、今回は16組からグランプリファイナルに進む8組が決まります。マシンガンズは予選会上位のポットAで上がってきたランジャタイとの対戦。

4月30日の観覧に当たったので行ってきました。審査もしています。
審査のことは体験した人たちがSNSなどに書いていますが、芸人さんの人生がかかっているのでちゃんと審査をするよう、そしてコメントを求めるので自分の言葉で説明できる採点をするよう、とても真摯な説明がありました。

本当に8組とも面白い、超ハイレベルな戦いでした。
前日も含めそれまで全部後攻が勝っているので、すごく不安な気持ちでマシンガンズの出番を迎えたのですが、勢いよく出てきたマシンガンズが、先攻なことを逆手に取った入りからもうずっとドッカンドッカンとウケていて…。審査の時間が始まってもまだ笑いが残っていました。

これなら戦えるかな、でも点がつきにくい漫才だからな、しかも相手は人気者のランジャタイだからな…と思って、実際後攻のランジャタイもちゃんとウケて、結果発表へ。

マシンガンズの得点、1点2人。そして2点が7人。

ここで会場がすごい空気になったんですよ。興奮、どよめき、ざわめき。今からとんでもない点が出るぞ、しかも先攻でという興奮。
そして3点が91人で、合計289点!先攻で!

興奮のるつぼの中で、なぜか抱き合う西堀さんと国崎さんw

私は2点が7人の時点で時間が止まったみたいに感じて、いやでもそんな、これならランジャタイがもっとすごい点になるんじゃないの?と思って、ぽかんとしていました。

そしてランジャタイの得点。1点が8人。

この時点でもう決まりじゃないですか。残り92人が3点でもマシンガンズの方が上なんですから。
で、ランジャタイは258点。まさかまさかの大差でマシンガンズが決勝進出!

そこから腸のことがいろいろあってすごく笑ったんですが、それでも何が起きたのか全然わからなくてただ笑っていました。
後で調べたら「腸を喉に詰まらせた新沼謙治」とか言っていたらしいんですが、何も耳に入っていませんでした。国崎さんが客席に投げ込んだ腸の放物線だけ覚えてます。

マシンガンズが決勝進出ですよ。漫才の賞レースの。漫才の賞レースの!!!

マシンガンズが賞レースで評価されてほしいとずっと思っていたのに、今もまだそんなに実感がわきません。
M-1ラストイヤーの後にファンになったので、THE MANZAIは2011年に二回戦でトップクラスにウケてたのに認定漫才師になれず、2012年は認定漫才師になったけどサーキットがいまいちで、2013年はまた認定されなくて、2014年はやっとサーキットでちゃんとウケた感じで。

今回のTHE SECONDで、「マシンガンズは評価されにくい芸風だし」とか「売れっ子が相手だし」とか「先攻は勝ちにくいし」とか、いろんな理由をつけて、負ける予防線を張っていた自分に気がつきました。だからきっと実感がわかないのかなと。

でもマシンガンズはそういうことを全部全部ネタにして、爆発的に笑いを取って、全てをひっくり返して決勝を勝ち取りました。
すごいなあ。すごかったです、本当に。

審査形式についてはいろいろ言われていますが、かなり公平性を考えて作られたルールだと思います。
審査員は予選会を見た人や応募してきたお笑いファンで、持ち点は一人3点。一組ずつのネタを見た後に採点。相対評価ではなく絶対評価でつけるようにも言われています。こうしないともっと後攻有利になっているはずです。

また、コメントを求められる可能性があるというのは非常に大きな抑止力です。よほどのやばい人でない限り、好き嫌いで1点と3点をつけることはなくなります。

(ちなみにマシンガンズ3点、ランジャタイ1点の人がコメントを求められていましたが、あれは私ではありませんし私がつけた点数も違います)

なんとなく2点をつけるということもなくなります。ネタを見て笑いながらも、自分の感覚で判断していく。それがすごく貴重な経験になりました。
何点をつけるのかはネタを見ながら固まっていくので、お客さんの採点が早かったのはおそらくそれが理由です。
私はコメントを求められることはなかったのですが、一応全組考えながら見ていました。でもあの場で実際に話すのはとても大変だと思います。

ちなみに前方100人が審査をする観客で、後方には審査をしない観客(お笑いファンと一般の観覧客)が混じって座っていました。
マシンガンズのネタの時、その後方から絶えずうねるみたいな笑い声が聞こえてきて、びっくりしたんですよね。どうもお笑いファンでない層にもめちゃくちゃウケてるという。
ネタの終盤、ウケすぎてセリフが全然聞こえない箇所がありました。そして6分経ったから帰っていくマシンガンズ。

289点の時のどよめきと興奮は、たぶんずっと忘れないと思います。芸人審査時代のキングオブコントで東京03の高得点が出た時とか、こういう雰囲気だったんだろうなと思います。自分たちの意志が集合してこうなったという興奮は、お笑いファンの集まった審査ならではでした。

お笑いブームが結構長く続いて、賞レースも過熱して、審査員が審査をされるような状態になっているじゃないですか。
それなら今度はあなたたちの番です、と言われたような気がします。ベテラン同士が火花を散らす何でもありの漫才バトルの審査を、お笑いファンに託してもらったような気がしました。何でもありをどう点数にするか、あなたのお笑い経験で判断してくださいと。その上で、スタッフの皆さんはできるだけ公平なルールを作ったと思います。
観覧に行くと、いい大会にしたいんだというスタッフの皆さんの気持ちが伝わってきました。たぶんボタンを持って審査していた人たちは、私も含めて、とても厳粛な気持ちで審査をしていました。

マシンガンズ、本当にすごかったです。でもマシンガンズはいつだってこんなに面白かったんだよ!ということを声を大にして言いたいんです。
正直、「お笑いのブログやってるくせに一番好きな芸人がマシンガンズって(笑)」みたいに言われることはあるのですが、どれだけたくさんお笑いを見ても、一番面白い漫才師はマシンガンズだと思うからファンなんです。
M-1の準決勝を見ても、決勝を見ても、「やっぱりマシンガンズが好きだな」と思います。そしてそれは今回も同じでした。ただ、点数になってついてきたのが本当に素晴らしかったです。

マシンガンズが決勝に行ける大会があるんですね。こうやって書いていてもまだ実感がわきません。
あとはもう、悔いのない漫才ができるように祈るだけです。


5/3 書ききれなかったことが多いので以下追記です。

観覧について。
応募フォームに「好きなネタ番組は?」などの質問がいろいろあり、その中に好きなお笑い芸人を3組書く欄があったのですが、これを書くのにしばらく悩みました。
誰のファンでもない人が選ばれやすいのか、それとも各出場者のファンだとはっきり書いた人を平等な人数入れるのか。

考えてもよくわからなくなるので、どうせ外れて後悔するなら正直に書いて後悔した方がいいと思って、マシンガンズを含めて書きました。残りの2組はTHE SECONDに出場していないコンビを書いています。
そもそも応募の時点で29日と30日のどちらに誰が出るかわかっていなくて、30日しか行けないのでそちらに応募しました。そうしたら30日がマシンガンズが出る方だったので、それもラッキーでした。

対戦について。
後攻有利というのはどうしても言われていますが、ポットAのルールで予選会でウケた組にアドバンテージを与えるのは当然だと思います。そうすることで有力どころ同士が序盤で当たらなくなりますし、「めちゃくちゃくじ運の悪い人」を出さない仕組みでもあると思います。

32→16でポットAと当たるところは大変だけど、勝ちさえすれば次の対戦で後攻を取れる。そしてポットAと当たらなくて済んだ組は16→8で先攻になるという点も、よくできていると思います。

また、採点は相対評価でなく絶対評価でと言われてはいるものの、2組のバトルという形式である以上、後攻は「先攻と比べてどうか」という目で見られる部分が確実にあると思います。先攻は「前の組の後攻と比べてどうか」とは見られないですからね。

で、今回のマシンガンズvsランジャタイの対戦です。

マシンガンズが大爆発して、次に出てくるのはランジャタイです。後攻で、ポットAで、M-1ファイナリストのいまや人気者。
国崎さんのテンションが出てきた瞬間から高いし、始まったネタはバスケ。バスケットボールゴリラ漫画ゴリラじゃない方のバスケの、いわゆるデロリアンのネタで、2021年の準決勝でランジャタイがバカウケして決勝進出を決めたネタです。

たぶん客席前方のお笑いファンは半分以上が見たことのあるネタで、「お、これを出してきたということは本気だな」と思ったはずです。ランジャタイでどう笑うかを知っているお客さんばかりなので、笑いどころでもちゃんと大きく笑いが起きていました。

ただ、いい時のランジャタイと明らかに違った気がします。国崎さんが普段以上の熱演なのは伝わったんですが、焦ってたのかなあ…。
錦鯉がM-1で優勝した時に、最終決戦で錦鯉の後に出てきたオズワルドが「君らは猿出さないの?」という目で見られた気がしたと言っていましたが、まさにあの感じがしました。笑いは起きているんだけど、無意識に客席が「もっとないの?」と促しているようなあの感じ。

マシンガンズが爆発して、あれを超えないといけないとなると、後攻のポットA、勝って当然という立場が一気にプレッシャーになったのかもしれません。
これが対決形式、ポットAルールの恐ろしいところで、それを浴びてしまったのがまさかのランジャタイだったんだと思います。

苦労人のマシンガンズが人気者のランジャタイを倒したみたいになっていますが、ランジャタイだってつい最近までは立派な苦労人です。私もオフィス北野のライブに出てた時から何十回もランジャタイを地下ライブで見ていますし。

さらにお笑いファンの審査となると、ランジャタイはお笑いファンウケがすごくいいじゃないですか。津田さんのゴイゴイミュージカル(通称ゴイミュ)でセンスも改めて見せつけたし。なので対決の時、私の頭の片隅にはずっと津田さんの「今日も元気にゴイゴイスーで行きましょう」が流れていました。ランジャタイのすごさの象徴として。

ようやく売れて評価もされるようになった今有数に勢いのあるランジャタイが、マシンガンズが先攻で爆発した6分が終わった瞬間、一転して失うもののある、守る側になってしまった。それが対決という形ならではの予測不能のドラマだなあと思いました。ランジャタイが守る側になることなんて、もう一生ないかもしれないです。

審査について。
ただでさえ1点はつけにくいですが、誰かのファンである立場だと、ますます3点と1点をつけることはできません。だって100分の1でコメントを振られる可能性があるんですから。
もし私がマシンガンズに3点、ランジャタイに1点をつけてコメントを振られたら、そしてそのコメントのどこかでファンだとばれてしまったら、マシンガンズの痛いファンが紛れ込んで偏った審査をしたと思われてしまいます。
自分がたったの2点差をつけることとマシンガンズに迷惑をかけるリスクを負うことのつり合いが全く取れないので、そんな審査はできません。
もちろんそこまで考えない人ならそういう審査は躊躇なくすると思うので、だから一応好きな芸人さんを書かせて、人数のバランスは取っているんじゃないかなと思います。
(※これについては決勝の観覧募集が終わっているので書きました)

とにかく「もし勝っちゃったら泣いちゃって、コメント振られた時にまともに喋れないんじゃないか」というのが不安だったんですが、2点7人の瞬間からずっとぽかんとするだけで、ワーもキャーも全く出ませんでした。マシンガンズの合計点数とかランジャタイの合計点数にピークが来るかと思っていたら、もっと手前で予想以上の衝撃が来てしまったので。
もちろん涙も出なかったし、今日この瞬間までまだ泣いていません。

あと、ランジャタイの1点が多かったのは、マシンガンズに2点をつけた人なのではと思っています。ランジャタイがもっとすごい可能性があると思ってマシンガンズを2点にしておいたけど、ランジャタイを見て、これは差をつけた方がいいと思ってそうしたんじゃないかなと。
絶対評価でつけるようには言われていますが、人間の心理なのでそういう比較が生じる部分はあると思います。
たとえば先攻が十分面白かったら気持ちよく3点をつけて、それに比べて後攻が明確にいまいちだったら2点にしたり、後攻も十分面白かったらそれも3点にしてあとは他の人の好みに委ねたり…という感じです。だからある意味、後攻はハードルが設定された状態で始まっていると思います。

ネタ時間6分のうちにそういう印象がめまぐるしく変わっていって、100人分の印象や好みが集まって、結果としてすごく妥当な点数が出ていると感じました。タイムマシーン3号vs金属バットと三日月マンハッタンvsテンダラーの僅差なんて、伯仲した対決の印象がちゃんと点差に表れていました。
キングオブコントの芸人審査を思い出して楽しかったです。始まった時はいろいろ言われていましたが、すごくよくできた形式だと思うので、他の大会などでも似た審査が導入されるかもしれません。
ただこれは、十分にお笑いへの知識と愛情を持っている人を集めることが前提の審査ではあると思いますし、東京でやっている以上東京の芸人さんが有利という点は残ります。

ちなみに私の場合は賞レースの予選を見ながら100点満点で考えることが習慣になっているので、100点満点換算で93点以上だと思った場合は3点、92点未満の場合は2点という考え方でやっていました。
1点はつけなかったのですが、点数で言うと84点未満ぐらいかなと思います。私の中ではちゃんとウケていて面白かった時の点数が93点です。

グランプリファイナルはどうなるんでしょうね。16→8の時点でネタのレベルは非常に高かったので、次はいよいよ実力が横並びだと思います。
その上でトーナメント形式となると、優勝者はきっと3本目のネタが始まる時点で、ものすごく客席の心をつかんでいると思います。3本ネタをやっても飽きられないどころか、「待ってました!」になっている組が優勝するのかもしれません。

ここからはますますどう転がるかわからないのでとにかく楽しみです。マシンガンズが勝ち進んだことを抜きにしても、こんなに面白い賞レースになるとは思いませんでした。


(22:28)

2023年01月22日


行ってきました。会場はマリンメッセ福岡A館。

圧巻は15日の博多大吉リクエストアワー。
メンバーとジャルジャルの歌ネタから始まり、ダイアン津田さんの「違う、そうじゃない」(大阪の黒白歌合戦に続き二度目の披露)、フットボールアワー後藤さんの本気の長渕剛、華丸さんの海援隊と豪華なラインナップ。
そしてロバート秋山さんの歌ネタ二つで8400人の会場が爆発的にウケた後、出てきたのはなんと藤井隆さん!「ナンダカンダ」をパーフェクトに歌い踊り、島田珠代さんと絡み合って踊り、後藤さん、鬼奴さん、RGさんを交えて歌って歌ってなんと20分のステージ。
大吉さんは「とにかく藤井くんをマリンメッセに連れて来たかった」と言っていました。

16日のLIVE STAND大喜利も面白かったです。
決勝戦の津田さんに回答を読ませる大喜利で、ニッポンの社長辻さんが大活躍。無茶ぶりをしまくって津田さんの超大暴れを引き出していました。
ネタブロックも本当に面白くて、8400人の会場が一体となってネタを見ているのは壮観でした。

エンディングのトロッコは一日目が華丸大吉、見取り図、ロングコートダディ、二日目はタカトシ、千鳥、かまいたちでした。二日目は礼二さんにけしかけられた津田さんがフラッグを持って舞台上を駆け回り、サビの「LAUGH!LAUGH!LAUGH!」に合わせて「ラーフ!ラーフ!」と絶叫していて、意味はわからないけどめちゃくちゃ笑いました。

福岡は全席指定で、1つのステージを椅子に座って見る形式でした。
東京は3つのステージがあって全席スタンディング。大阪はメインの大阪城ホールに通し券で見られる1つのステージ(アリーナは細かいブロックに分かれたスタンディング、スタンド席は指定席)と、COOL JAPAN PARK内の他の会場で個別にチケットを買って見るライブが行われました。

こうして見ると、各会場で形式ががらりと違っていたことがわかります。
どれが一番いいかと言うと、なかなか難しいです。座って見られる福岡は楽かと思いきや、長時間座るので結構腰が痛くなったり。東京はステージごとに多少人が入れ替わるけどその場から離れるともうその位置では見られないし、大阪は場所取りが横行していたので一日の最初のステージで場所が決まるとそれ以上見やすい場所にはもう行けなかったり。絶妙に一長一短でした。
立って見るのが意外と一番臨場感があったかなあと思います。ただ体力勝負なのはどれも同じですね。

でも、三都市ともお客さんがとても集中して見ていました。前のライブスタンドは居心地が悪かったような記憶があるのですが、今回は年齢層がそこそこ幅広いながらも本当に落ち着いた客層でした。うちわを持ってきている人もいましたが、ミーハーというよりは「せっかくだから楽しもう」みたいな気持ちの人も多そうでした。

濱家さんのビートDEトーヒがいじられたり、津田さんがめちゃくちゃに怒ったりで沸く客席ってすごいと思うんですよね。福岡の8400人という規模でこんなお笑い濃度の高い客席になるなんて。

8月の東京を皮切りに始まったライブスタンドですが、大阪と福岡の間にキングオブコントとM-1がありました。
ビスケットブラザーズは東京にも大阪にも出ていましたが、福岡で初めてメインステージでネタを披露。明転板付き胸毛ブリーフの原田さんに笑いが起きていて、ビスブラの面白さが浸透している感じがしました。
さや香も福岡ではメインステージに。石井さんが眼帯で出てきて客席が不安になる中眼帯のことに触れずにネタが始まった後、絶妙なタイミングで新山さんがそれをいじって爆笑が起きていました。ネタもM-1の時の面白さに通じるものがあって、とてもよかったです。
こういう風に、ほんの半年ほどでも芸人さんの地位が変わっていくことを実感できたのも面白かったです。

というわけでライブスタンドは大阪一日目以外全部行きました。
とはいえ体力的なものもあるのでちょこちょこ休みながら見ました。

今回は久々の開催で、コロナ禍だし客層もつかめないしで行くのをためらった人も多いと思いますが、客層に関してはびっくりするほど落ち着いていました。
興味ない組の出番でスマホをいじったりとかもなく、さらに周囲で聞こえるお笑いの話は芸人さんをさん付けで呼んでいる人が多く、本当にお笑いをちゃんと見ている人の集まり。みんなお笑い好きなんだなと思うとその空間にいるだけで楽しかったです。

体力的な部分は本当にきついので、私から言えるのは「無理はせんとき〜」ということです。これは熊元プロレスさんの声で読んでください。

ライブスタンドは大成功に終わったと思います。来年もあるならぜひ行きたいです。


(22:31)